健診難聴
学校検診で聴力検査でひっかかり、「難聴疑い」で耳鼻科を受診する。耳鼻咽喉科の聴力検査ではまったく難聴はない。
このようなケースを以前は、「心因性難聴」と呼んでいた。本当の難聴ではないのだが、あたかも難聴があるかのように、聴力検査上の異常が生じるものである。ただ、この「心因性難聴」というのがくせもので、このような病名を言ってしまうと何らかの心因(ストレスなど)があるのではないかと、親が心配してしまう。おそらく学校でいじめられているのではないかと思ってしまうのだろう。
このため今は、「健診難聴」という言い方が増えてきた。健診で難聴があるとひっかかってくる、にせものの難聴のことである。大人の場合はあまりない。ほとんど子供である。
その理由は、子供が聴力検査に集中していないからだろう。次から次への検査を行わなければならないと、後ろに友達がいて、そちらが気になったり、うるさくて小さな音を聞き逃してしまう。その結果、難聴があると判断される。静かなところで、一人で検査をすればほとんどパスしてしまう。
耳鼻咽喉科にくる子供の多くはこのような健診難聴である。耳鼻咽喉科で再度聴力検査を行い、難聴がないことを確認して終了になる。
しかし、ときに難聴がみつかる。多いのは滲出性中耳炎。次にムンプス難聴のようなのがいる。おそらくもともと難聴はあったのだが、片耳だけが聞こえないことになれてしまっていて、本人はもとより周囲の人も誰も気づかない。学校にあがり健診をするようになってはじめて異常を指摘されるのだ。