体調管理には規則正しい睡眠
医者になって数年目。「中心性網膜炎」を発症した。目の前がまぶしく光るようになり、同じ病院の眼科を受診し、そう診断された。なんでも、ストレスが原因になるそうである。一度目がおかしくなると、1週間ほど続いて自然に治る。このような発作を繰り返していた。同じ病院でかかっていたこともあり、「耳鼻咽喉科の部長にはこちらから言っておくよ。」と言われた。当時の耳鼻咽喉科部長にはとてもよくしてもらい、何も不満はなかったのだが、「ストレスは自分のせいかな。」とすごく心配させてしまった。が、本当の原因は睡眠不足によるものであった。自分だけはそのことをよく理解していたが、黙っていた。
週に2回は当直業務をこなしており、非番の日も睡眠時間が少なかった。ときには2~3時間の睡眠で仕事にでることもある。そのようなときに限って、目がおかしくなったからだ。10年間ぐらいは、ときおり発症していたが、だんだんとその頻度は少なくなり、特に開業してからはほとんど症状がでなくなった。
開業すると、夜に呼ばれることはなくなる。寝る時間、起きる時間がほぼ固定し、規則正しい睡眠をとれるようになったことが、症状がでなくなった一番の理由であろう。若いうちはまだいいのだが、年をとってからの夜間の仕事はとても負担がかかる。病院などの場合は、40歳をすぎると当直業務が免除になるのも、そのような理由からであろう。一晩寝ないで勤務しても、翌日十分に寝れば回復していたのは、20代のとき。30代になると、2~3日体調がもどらなくなってきた。このころは、当直頻度が週1だったので、何とか乗り越えられてはいたのだが。
ストレスがからんで発症する耳鼻咽喉科の病気も多い。ストレスと言ってしまうと、「精神的な悩み」かのようにとらえられてしまうが、実際は睡眠不足の問題は大きい。夜勤をこなす看護師さんらに、この手の病気が多いことがものがったっているような気がしている。
個々により仕事の内容は違ってくる。年をとっても夜勤帯に働かなければならない場合は、かなり体に負担がかかることは覚えておいてほしい。