ムンプス性髄膜炎
[2018.06.22]
頸部痛を主訴に当院を受診した10代の患者がいた。強い痛みを訴える。耳下腺も腫れているようだ。すぐに病院に紹介し、入院になった。病名はウイルス性髄膜炎。ムンプスによる髄膜炎であろう。
細菌性髄膜炎はとても怖い病気である。一日治療が遅れれば、そのまま死にかねない病気である。このため、肺炎球菌やヒブワクチンをうつようになり、細菌性髄膜炎は激減し、それで命を落とす人はほとんどいなくなったことであろう。
しかし、細菌性髄膜炎はおさえられても、他の髄膜炎には効果がない。ウイルス性髄膜炎はまったく減らないだろうし、特にムンプスは髄膜炎の発症頻度がけっこう高い。見落とさないように気を付けなければならない。
疑ったら、腰椎穿刺を行う。これしか診断手段はない。ウイルス性髄膜炎ならばそんなに怖くはないのだが、細菌性髄膜炎であれば治療が遅ければ命を落としかねない。この区別には腰椎穿刺が絶対だ。
髄膜炎を疑ったら、何が何でも腰椎穿刺。それは病院の医師にやってもらう。そのうえで、ウイルス性のものと判断できれば、安静にしてもらい、治るのを待つしかない。