急性心不全
大杉漣さんが急に亡くなりました。死因は急性心不全と発表されたようです。医療従事者であれば、この死因に疑問符が付く人も多いと思います。今時、急性心不全という死因はないと思っているからです。
というのは、僕が若いころは心臓が止まれば死因は急性心不全。呼吸がとまれば、死因は急性呼吸不全。このように死亡診断書に書くのが普通でした。人間の最期はほとんど心臓がとまるか、呼吸がとまるかで、このどちらかになってしまうのです。これでは正確な死因の病名がわからないということで問題になりました。国の指導もあり、このような死亡診断書は書かないようにしましょうということになりました。
報道によれば、大杉さんは突然おなかを痛がって救急病院に運ばれたら、そのままなくなってしまったそうです。この経過からすると、急性心筋梗塞が考えやすいのです。急性心筋梗塞による突然死というところでしょう。急性心筋梗塞も、急に心臓がやられるので、心臓はとまります。つまり心不全と言われるような状態になってもおかしくはありません。「急性心不全」と死亡診断書に書かれて、そのままマスコミ公表されたのでしょう。
もちろん、家族が「心筋梗塞」という病名の公表を嫌がったということもあるかもしれません。いずれにせよ、急性心不全でが死亡原因というのには違和感があるのです。