妊婦加算
4月以降の診療報酬改定で、妊婦加算というのがつくようになります。妊婦を診察すると、少し診療費を上げますということです。妊娠していると薬をだしてもらえず、いろいろな医療機関で診察を断られるので、このような加算がつくことになったのでしょう。理解できる話です。
妊婦が風邪をひくと、内科にいっても、耳鼻科にいっても、薬をだしてもらえないのです。結局、かかりつけの産婦人科で風邪薬をだしてもらえということになってしまうのです。かかりつけの産婦人科が近所ならまだいいのですが、出産するために遠方の産婦人科まで足を運ばなければならないのでは大変です。このために、このような加算がついたのでしょう。
妊婦が診察してもらえるようになるのはいいとしても、薬をだしてもらえるかどうかはわからないのです。診察受けて、今までより高い診察料を払うことになったけど、結局薬をだしてもらえないので、かかりつけの産婦人科にいくことになってしまいました。こういう事態も想定できます。
まだ若いころ、病院の産婦人科の医師とケンカになったことがあります。妊婦さんが、風邪をひいて夜間に受診しました。当直をしていた僕は妊婦ではなんの薬をだしたらいいかわからないと断ったのです。このため、同じ病院の産婦人科医が呼び出されることになったのです。その産婦人科の上司から、「風邪なんだから薬ぐらい当直医がだせ。」と愚痴られたのです。産婦人科医にとっては、普段から夜間の対応で大変なのに、風邪ぐらいで呼び出されてはたまらんということなのです。僕もまだ若いときだったので、言い争いになりました。殴り合いはしていませんけど。
これからですね。妊婦にやさしくなったのは。やさしいかどうかはわかりませんが、本人が希望すればたいていの薬は出します。もちろん、診察を断ったことはありません。診察した上で、本人の希望をきき、どのような治療をするかを相談するようになりました。薬を飲みたくない場合は、薬を使わない治療も提案します。
医者がおそれるのは、知識がないからです。だったら、しっかりした知識をもって対応できるようにすればいいわけです。
若い時に、マジで言い争ったのを今も覚えています。はっきり言ってくれたからこそ、自分もカッとなったけど深く反省もしました。
風邪程度の薬をだすのに、なんで恐れなければならないんだ。妊婦でもなんでも診てやるぞ。