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隠れインフルエンザ?

[2018.01.30]

最近のテレビで「隠れインフルエンザ」が盛んに取り上げられているようです。インフルエンザとは、熱が38度以上とどの医学書にも明確に書いてある時代からすれば、インフルエンザのとらえ方はかなりかわってきました。3年ほど前から、微熱のインフルエンザがいるよとその症例をまとめて発表してきました。昔、発表用にまとめたパワポを見直してみたら、発表は2016年の1月でした。前年にまとめたデータを、足立区の中で発表しています。僕はこのとき、「隠れインフルエンザ」という言い方はしていませんでした。「軽症インフルエンザ」と呼んでいました。隠れインフルエンザというのはちょっと違うだろうなと思っていたからです。何も隠れているわけではなく、医者がインフルエンザを見抜いていないだけなので、「インフルエンザ見逃し例」といったほうがぴったりだと思っていましたから。さすがに、「見逃し」という言葉は使えませんでしたが、どう考えてもインフルエンザだろうという患者が、他院で「熱が38度いかないからインフルエンザはありえない。」と自信をもって宣言されたりしていて、「検査ぐらいしたらいいのに。」と一人で憤っていたものです。実際に検査をすれば、37度台のインフルエンザなどいくらでもいることに気づくからです。

あれから、3年。ようやく、軽症のインフルエンザがいるという認識が一般的になってきました。自分のような医者がいくらデータをだしても信じてもらえないのに、マスコミであおられると簡単に信じてしまうのもどうなんだろうと思いますけどね。

「隠れインフルエンザ」報道により、「インフルエンザの検査をしてくれ」という患者が多くなって迷惑しているという医者の意見も耳にしました。病院勤務医は患者が少ないほどうれしいので、迷惑なんでしょうね。どのような報道がなされているかは知りませんが、隠れインフルエンザという表現が誤解を招きやすいのです。普通の元気な人の中にインフルエンザの人がいるのではないかと誤解されてしまいます。そうではなくて、みんな発症し症状がでてきているのです。ただ、その症状が軽いだけなんですよ。診察しその症状を確認すれば検査などしなくてもインフルエンザかどうかは大人の場合はほぼわかります。見分けられるポイントがあるからです。検査など不要なのです。ただ、検査しないでインフルエンザと診断すると、患者さんが信じてくれないので検査をしているのです。検査で陽性にでたら、信じてくれるでしょう。症状がまったくないのに、インフルエンザはないと思っています。そのような人には検査をする意味はまったくありません。何らかの症状がでてきている人の中に、軽症のインフルエンザがまじっているのだとご理解ください。

3年前には軽症例以外にも、もう一つ調べています。その結果、「発症後すぐでもインフルエンザ検査で陽性にでる。」ということです。今もそうなんですが、発症後6時間(24時間という医者もいる)は検査をしてもでないから、翌日もう一度検査にくるようにと一日待たせるケースが多いのです。実は発症して検査をしても、すでにウイルス量が増えていて陽性にでるケースはかなり多いのです。一日待つことでウイルスは爆発的に増殖し、薬はききづらくなります。このため、僕は「受診したときが検査どき、すぐに抗インフル薬をだすのがベストだ。」と言っています。待たずにすぐに検査をするほうがいいんだと、これも3年前から主張しているのです。これに関しては、まだマスコミの報道はないので、一日待つという医者が多いんですね。まあ、あと3年待てば医者の考え方も変わるでしょう。

2016年1月の発表スライドより

ちなみに、軽症インフルエンザは3年前のマイブームであって、今はもうあきてしまいました。最近、咳喘息についてもほぼ考えがまとまってきたので(後日書きますが)、今の興味は中枢性めまいをいかに見抜くかというとことなんです。中枢性めまいもかなり多いのに、たいていは誤診されています。これをどう見抜くかが今のメインテーマなのです。

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