頸部リンパ節腫脹
最近、顔や首のリンパ節が腫れて受診してくる人がめだつ。リンパ節の腫脹というのはけっこう診断が難しかったりする。中にはリンパ腫という悪性の病気もあるが、みればおおよその判断はつく。悪性リンパ腫そのものは、内科の血液科で治療をするが、そこに集まる人のほとんどが紹介患者であろう。初診で悪性リンパ腫の患者が受診することはまずあるまい。耳鼻咽喉科(首から上は耳鼻咽喉科と考えてもらえばいい)が初診でみて、判断してリンパ腫だろうということであれば、血液内科に紹介するというパターンが普通であろう。
頸部のリンパ節腫脹はつぎのように判断する。
1)リンパ節を押すと痛みがあるかどうか
痛みがある→炎症によるもの、ほとんどしんぱいない
痛みがない→リンパ腫や癌転移も考える
2)大きさはどうか
2cm以上の大きさ→リンパ腫などを疑う
それ以下→あまり心配ない
3)他の症状を伴うか
強いのどの痛み→急性扁桃炎+それに伴うリンパ節腫脹
発熱→ウイルス感染(特にEB、HIVなど)
4)その周囲に原因はないか
リンパ節の部位により元の疾患が推測できる顎の下の部位のリンパ節は口腔底に何か異常があることが多い
耳前部のリンパ節は、目の感染が多い
耳後ろのリンパ節は、風疹を疑う
首の後方のリンパ節は、ウイルス感染が多い
また、皮膚の炎症悪化は近くのリンパ節が腫れやすい
リンパ節腫脹は、その状態により病気を絞り込んでいく。実際にははっきり診断がつかないことも多く、数週間の短期間で腫脹がなくなるかをみることも多い。その間に、リンパ節の数が増えてきた、大きくなってきたというようなことがあれば、リンパ腫を疑って、精査をすすめていく。
リンパ腺腫脹の診断の流れはこんなものか。