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急性喉頭蓋炎は実はとても多い

[2018.08.26]

致死的な病気、見逃してはいけない病気、それが急性喉頭蓋炎です。手遅れになれば死んでしまいます。

昔勤めていた病院の耳鼻科に、急性喉頭蓋炎で診察待ちの間に窒息し、植物状態になってずっと入院している患者がいました。何年も入院していて、僕が担当のときに、お亡くなりになりました。

怖い病気として知られてはいるのですが、見つかるのは氷山の一角で、実は患者はたくさんいるんだと思います。なぜ、それほど話題にならないのかと言えば、多くは自然に、あるいは抗生剤を飲めば治ってしまうような軽症だからです。重症化する前に、誰も気づかないうちに治ってしまっているんだと思います。

当院では少しでものどの痛みが強い場合には、喉頭ファイバーで喉頭を確認します。先日も一人いましたが、抗生剤の内服だけでかなり改善しました。程度がひどい人には抗生剤を点滴しますが、病院まで緊急で紹介したのは、過去に2~3人ぐらいでしょうか。「みつけたら即紹介、緊急入院」と思っている耳鼻科医も多いと思いますが、けっこう悪化しないものです。注意しながら経過を追っていけば大丈夫です。ただ、悪化しないと言う根拠はありません。重症度を見極め、ひどいものは窒息を考えて、最善の手をつくすべきでしょう。

勤務医のころには、急性喉頭蓋炎は窒息するものだとたたきこまれていましたから、けっこう気管切開を行っていました。今思うと、過剰にやりすぎたように思います。入院中なわけですから、慎重に経過をみて、悪化してきたら、気管切開という判断でよかったと思います。死に至る怖い病気ではあるが、そうなるのは一部だと言うことです。

怖い怖いと耳鼻科医もおそれる病気ですが、軽症例はほとんど見逃されていることも多いことでのでしょう。怖いのならきちんと早期に確認しましょう。これが今の考えです。若いころとはまったく変わってしまいました。

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