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手術の適応

[2018.10.01]

慢性中耳炎でずっと耳鼻科に通っている患者さんが当院に来た。長く通っている割には手術を勧められていないそうだ。当院に来たのをきっかけに、「手術したらどうですか?」と勧めてみた。鼓膜に穿孔があっても不便がないので手術をしたくないという人も多いので、一応確認したのだ。その患者さんは手術をしたくないわけではなく、今までずっと手術の必要性を説明されたことがなかったそうだ。まだそんなに高齢者でも無いのに、不思議なことである。

耳の手術はここ数十年で劇的に変わってきた。特に入院期間の短縮はすさまじい。自分が耳鼻科医になったばかりの頃には、真珠腫性中耳炎の手術で3週間ぐらい入院していたような気がする。今や2~3泊の入院でできてしまう。いや、日帰りでもけっっこういけるものなのだ。昔の手術を知っている耳鼻科医にとっては、長期に入院できないだろうと勝手に思い込んでしまっているのかもしれない。まあ、そういうこともあるだろう。

手術適応年齢も劇的に変わってきている。胸が苦しいと受診した80歳半ばのお年寄りがいた。循環器の病院に紹介したら、狭心症の診断であった。ここまでは予想できたのだが、心臓のバイパス手術をしますと返事に書いてあったのには驚かされた。80半ばで手術をするんだ!僕が医者になったころだったら、絶対に手術をしなかったろう。手術で命を落とすリスクが高いからだ。それぐらい高齢者の手術は安心なものになってきているのであろう。

耳の手術も同じである。いつも紹介する耳の手術の専門医は、「耳の手術に年齢制限はない。」と言っていた。本人が希望すれば何歳でも手術をしたほうがいいと。もちろん、「もう年だからと諦めてしまう患者も多い。」が、医者が勝手にその人に変わって手術適応を決めては失礼だろう。本人の希望にそって動けばいいのだ。

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