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慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)

[2018.06.21]

耳鼻科医にとって、EBウイルス感染というと、伝染性単核球症を思い浮かべる。それ以外の病気のついてはあまり考えない耳鼻科医が多いことだろう。伝染性単核球症は、よくくる病気であるし、月に1人ぐらいは診ているかもしれない。

数年前に、有名アニメ声優が、EBウイルス感染からくる病気で亡くなった。このニュースを聞いて、EBのウイルス感染でも命を落とすんだとびっくりして、そのニュースに注目した。その病名が、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)である。簡単に言うと既存のEBウイルスが悪さをして、リンパ腫などの悪性腫瘍をひきおこし、死に至るということのようである。この声優さんが、診断を受けるまでに数年の月日がかかり、もっと早く診断がついていれば、何とかなったかもしれないのです。それ以来、僕もこの病気の患者が来るのではないかと常に注意をしている。

伝染性単核球症と、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)の何が違うのかを簡単にまとめてみた。

伝染性単核球症

 EBウイルスの初感染、B細胞が感染する、短期間で症状がおさまる

慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)

 EBウイルスの再感染、T細胞やNK細胞に感染し増殖する、死亡率はけっこう高い

ようするに、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)とは、最初にEBウイルスに感染した後、体内に残ったウイルスを自分の体がおさえきれなくなり、腫瘍細胞へと増殖していく。癌化して亡くなってしまう。かなり怖い病気であり、見逃してはならない病気である。EBウイルスの抗体検査を行いさえすれば、診断がつく。

細菌のことであるが、疑わしい患者が受診した。咽頭痛、発熱、頸部リンパ節を主訴に受診し、症状がよくならない。採血検査をすると、細菌感染ではなく、リンパ球がかなり増えている。これはと思って、抗体検査をオーダーしたが、普通の伝染性単核球症であった。そうであれば、前医(大学病院)で診断されていてもおかしくないのに、普通の細菌感染として治療されていたそうである。

何らかの症状がよくならないときには、そこに何らかの原因がある。採血検査などで確認をとっていくことになる。EB抗体だけではなく、サイトメガロウイルス抗体や、HIV抗体も必要に応じて調べるようにしている。HIVも絶対に見逃してはいけない病気であるからだ。

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