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副鼻腔気管支症候群

[2018.05.31]

大学病院に勤めていたころ、上司の先生からこのようなことを言われた。

副鼻腔気管支症候群というのを知っているか?喘息に副鼻腔炎を合併している率は高い。副鼻腔炎による後鼻漏は喘息の悪化要因になる。副鼻腔炎を治すと喘息もよくなる。

副鼻腔炎を積極的に手術して、喘息の改善効果をまとめていた。

副鼻腔炎と喘息との密接な関係は、どの医学書にも書いてある。ところが、両者をともに治療するという考え方をしているところはとても少ないのだ。

その一番の理由は、副鼻腔炎は耳鼻咽喉科の病気であり、喘息は内科の病気であるからだ。つまり、内科の医師は喘息の治療はするが、その患者が鼻が悪いかどうかにはまったく関心がない。逆に耳鼻科医は、副鼻腔炎の治療はするが、喘息があるかどうかにはあまり関心がない。双方の医者が、それぞれの病気をみていて、一人の患者の両者の治療をしていくという考え方がないのだ。その背景には、内科医は鼻の病気についてほとんど知識がない。また、耳鼻科医は喘息についてほとんど知識がない。そもそも学んだことがないので、診断も治療も難しいのだ。

大学病院でも同じである。一人の患者が内科と耳鼻科で別々の治療をしていく。けっこう似たような薬をどちらも使うので、双方が何の薬をだされているのかを確認するのもけっこうわずらわしいのだ。知らないうちに、薬がとめられていたり、なんともやっかいなものなのだ。

副鼻腔気管支症候群。この病気は結構多い。副鼻腔と気管支喘息の双方についての知識があって、はじめて診断できるものである。ばらばらに治療をするのは、やっかいなことが多いので、僕自身は両方を同時に治療をするようにしている。ようするに、喘息も、副鼻腔炎も一緒に治療してしまう。一人の医者が両者をみるようにするほうが治療がしやすい。二つの診療科にまたがってしまうため、1人の医者が両方をみているケースは本当に珍しいのだ。

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