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めまいはすべて耳なのか?

[2018.07.09]

内科などからふられてくるめまいの患者は、「耳によるめまいだから耳鼻咽喉科へ行け。」と言われてくる。内科の先生たちはめまいそのものが嫌いだから、最初からみたくない人が多いようで、どんなめまいであっても耳鼻咽喉科にふってくる。すべてのチェックをこちらでやらざるを得なくなってくる。

めまいの問診をしていると、耳によるめまいではなく、どうみても失神だろうと思う人がけっこういる。一番の決め手は意識消失。耳によるめまいで、意識がなくなることはない。短時間でも意識がなくなった場合には、脳への血流低下が元になっている。その場合も、血圧の問題なのか、血流の狭窄なのか、はたまた不整脈なのか、みきわめなければならない。

内科から耳鼻咽喉科に振られてくると、内科的なチェックはすんでいるのだから、受け入れる耳鼻咽喉科側も、耳によるめまいだと決めつけてしまう。メニエール病、良性発作性頭位めまい症、内耳性めまいなどの病名がつくことになる。最初から耳によるめまい以外の選択肢がなくなるのだ。

聞こえが悪いなどの耳疾患を疑わせる症状があればそれでいいのだが、まったくない場合のほうが多い。耳を疑う根拠がなにもないのだが、内科の医師はとにかくみたくはないのであろう。脳CTで異常がなければ耳鼻咽喉科へという流れがほとんどだ。

当院では血圧チェックからはじめることが多い。起立性低血圧によるめまいはけっこうある。不整脈もチェックしなければならないが、当院には心電図はないので、脈をとるぐらいの確認とさせてもらっている。本当に不整脈を疑う場合には、循環器内科のある病院に紹介させてもらう。ホルター心電図などの24時間心電図検査も必要になるからだ。

開業してまもなくのころの患者がいた。主訴はふらつく。問診票にかかれた自筆の文字を見て、驚いた。文字がゆがんでいる。明らかにおかしな文字なのだ。小脳失調症状なのであろう。すぐに脳MRIをとり、脳に異常があることが確認できた。

回転性めまいは、耳によるめまいが多いが、ふらつきになると、むしろ内科的な病気のほうが多いように思う。それをどう診断していくのかは、けっこうやっかいなのだ。

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