伝染性単核球症
[2018.06.16]
ひどい扁桃炎で受診した患者。抗生剤を点滴すれば治るなと思っていたが、ちょっと気になった。ウイルス性感染の可能性があるかもしれないと思ったのだ。ウイルス性感染の場合、両側頸部のリンパ節腫脹が目立つことが多く、扁桃の状態も細菌感染っぽい。しかし、念のため、院内採血検査を行った。増えているのは好中球ではなく、リンパ球。伝染性単核球症だ。あわてて外注検査もだすことにする。
採血結果がもどってくると、肝機能障害と、非定型リンパ球が30%になっていた。診断確定する。抗生剤の処方を中断する。
伝染性単核球症と、細菌性急性扁桃炎は、けっこう臨床症状だけで区別できると思っていたが、けっこう難しい。細菌感染だと思ったらウイルス感染、ウイルス感染だと思ったら細菌感染。最近最初の勘がはずれてばかりいるような気がする。その勘の鈍さを助けてくれるのが、迅速検査である。10分もあれば結果が出て、判別できるのだから、検査をしないという判断は好ましくない。その日のうちに、対応できるのだから、とても役立つ検査である。