鼻づまり
鼻づまりがよくならないと受診した2歳児。3か月間ぐらい、小児科に通院して、抗生剤や抗ヒスタミン剤などをたびたびだされてきたが、一向によくならないと耳鼻科を受診してきた。鼻汁は吸ってもでてこない。
鼻腔ファイバーで鼻の中をのぞいた。後方のアデノイドがかなり大きい。鼻の後方の穴をほぼふさいでいる。これでは鼻閉がよくなるわけがない。
アデノイドとは、扁桃の一種で鼻の一番後ろのところにある。2歳ごろから大きくなり5歳ごろに小さくなってくる。4歳ごろが大きさのマックスだったと思うが、すでに2歳で最大限に肥大している。このアデノイドは小さくなるまで待つしかない。そうでなければ、全身麻酔下の手術で切り取るしかない。
手術の可能性を説明し、いくら薬を飲んでも鼻つまりはよくならないと、内服をとめた。手術をしないのであれば、あとは待つしかない。鼻はつまるものだと思ってもらうしかない。
アデノイドが大きいと慢性的な鼻づまりになるし、また滲出性中耳炎の引き金にもなる。耳鼻咽喉科医師にとってはアデノイドはきわめて当たり前のものではあるが、小児科の医師には鼻閉の原因としてピンとこないのであろう。耳鼻咽喉科の病気をよく知らないことが裏目にでている。
小児科と耳鼻咽喉科。医者になってからずっとどちらかを専門に診療する。小児科医には耳鼻咽喉科の知識はないし、耳鼻咽喉科医には小児科の病気の知識がない。これでは子供を診ることはできないだろうと、小児科と耳鼻咽喉科両方で診察できるクリニックを作りあげたわけだ。どちらでも対応できるようにする。双方で話し合って、方針を決められる。
本当は小児科医が耳鼻咽喉科領域の治療をできなければならないと思うのだが、現状ではうまくできないのだからしかたない。小児科のフォローを耳鼻科医が、耳鼻咽喉科のフォローを小児科医にしてもらうしかない。
子供の患者にとって一番いいのは、両方の医師の診察を受けることである。小児科ばかり、耳鼻咽喉科ばかり、一つの科ばかりでみてもらうのはけっこう弊害が大きい。