アレルギー・免疫2018年4月号 特集:咳嗽をめぐって
今月発行されたアレルギーの専門誌。先日、講演に来てもらった佐野靖之先生が序論を描いていたり、一昨年やはり東京で話を聞いた札幌の田中先生も感染性咳嗽の論文を寄せていました。どちらも、呼吸器内科の先生です。ここに載せられら論文を読むと、自分が今思っている咳に対する概念にかなり近づいてきています。呼吸器科の専門教授が提唱するようなガイドラインは、自分のような開業医にはけっこうなズレがあります。そのズレを指摘する呼吸器内科医が声をだしてきたということでしょう。
僕自身の考え
- 長引く咳、ひどい咳の多くは、咳喘息と、非咳喘息のものがある(百日咳、マイコプラズマ肺炎などは除外します)
- 咳喘息は、FeNo値上昇により指摘できる。非咳喘息のものは、風邪などのウイルス(ときに細菌)による気管支炎とアトピー咳嗽と呼ばれるアレルギーのからんだタイプがある。
- これらの咳を抑えるにに、抗生剤や咳止めはほとんど無効で、有効なのはステロイドである
- 治療はあまりかわらないので、あえて区別する必要性もない、診断にこだわるよりも咳をおさえてあげることのほうが優先である
大筋はこんなところです。ただ、細かいところを言うと、注意点はいくつもあるのですが、細かく述べるとごちゃごちゃしてしまうので、すっきりとまとめました。
呼吸器内科の分野には、感染性咳嗽という分類があります。百日咳など特別な病原体によるものをのぞけば、風邪のあとに気管支炎がひどくなって咳がとまらないものです。すごくすっきりさせてしまいました。これが、喘息がからんでいたり、アレルギーがからんでいたり、さまざまなものがあります。
臨床現場においては、1週間も夜眠れないような患者にはなんとかしなければなりません。慢性咳嗽の8割ぐらいが、喘息、アトピー咳嗽と分類されているデータもあります。喘息とアトピー咳嗽を分けるのには、専門的な検査などが必要です。そのような検査をするよりも、とりあえずICS(ステロイド吸入)を使って咳をおさえながら、後ほど分析していけばいいのです。
この雑誌には、まとめると上記のようなことが書いてあるのです。興味ある人はぜひ読んでください。論文の執筆者は開業医が多いため、臨床よりの意見になっていて、僕にはすっきりきます。