ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死
顎の腫れを訴えた患者が来ました。感染を起こして膿瘍を形成しています。原因がよくわからなくて、病院に紹介させてもらいました。その結果が、ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死ということでした。
骨粗しょう症には、ビスホスホネート系薬剤がかなりつかわれています。年を取り、骨粗しょう症になると、骨折を起こしやすくなります。これを防ぐためにこのような薬を使うのです。現在のお年寄りのかなりがこの薬を使っているのではないでしょうか。
この薬は3~5年間の連続使用が必要です。ただし、ずっと使い続ければ、顎の骨が腐ってしまい、面倒なことになるのです。内服が長期になる場合には、しばらくの休薬期間をもうけるといいようですが、けっこうずっと使われているようです。このため、顎骨壊死が起こりやすいのです。
顎骨壊死の副作用があるから、気をつけろ。内科や歯科の医師は、よくこのように言っています。歯科医師は、歯の治療をするときに、このような薬を飲んでいるかどうかが問題になるのです。内科の医師にとっては、自分が漠然と薬をだしつづけて、このような副作用がでないようにとの啓もうからですね。
僕自身も、顎骨壊死とビスホスホネート系薬剤の関係は知っていました。しかし、一度もそのような患者を診たことがなく、ピンとこなかったのです。口腔内も観察しましたが、こちらはまったく問題なく、顎の皮膚だけが問題だったのです。耳鼻科医がみることはあまりないのかもしれませんが、もう二度と判断を迷わないと思います。
実は先日もこの薬の顎骨壊死についての勉強会が、「東京保険医協会」で開かれました。自分がみることになるとは思ってもいず、別の用事があったため、欠席していました。今尾思えば、勉強しておけばよかった。