スギ花粉症で受診する人が多い季節です。なんの薬がいいですかと聞くと、デザレックスやビラノアがいいという人が多い。昨年発売された薬で、１日１回でいい薬だ。

その理由を聞くと二つの答えがある。１）昨年のんだらとてもよかった２）ネットでよく効くと書いてあった

このような理由で選ぶ人が多いが、かなりバイアスがかかっている。これを真実とは素直に考えられないのだ。

一番の理由は、昨年のスギ花粉は少なかったからである。まず、これは押さえておかなければならない。

昨年のスギ花粉は少なかったので、全員が症状が軽かったのです。ようするに、なんの薬を飲んでも、効くのは当たり前です。上記２剤に関しては、昨年のスギ花粉症のシーズンから発売されて広まったのです。昨年の花粉が少ない時期にしか飲んだ人がいないわけです。

スギ花粉症がひどいかどうかは、花粉量と薬の効果のバランスできまります。スギ花粉が多いときに上記の薬を飲んでいたら効かなかったのかもしれません。が、その時期誰も飲んだ経験がないわけです。

インターネットでも同様です。昨年しか飲んだことがない人たちが、「すごくよかった」と書き散らしているわけです。特に、昨年発売ということで、薬会社は宣伝に躍起です。また、それに呼応するかのように、使う医者もいっぱいいたことでしょう。昨年売れまくった薬ですから、スギ花粉症に対する薬の評判もよくなるはずです。

もちろん、この薬がダメだと言っているわけではありません。本当の効果は、今シーズンのスギ花粉症を抑えられるかどうかだと思っています。そこでも抜群の症状抑制ができれば、これらの薬の評価は固まるはずです。

評価が固まる前に新しい薬に手をだすな。これが僕の基本的な考え方なので、僕がこれらの薬を評価し、使うとすればそれは数年後のことでしょう。薬会社が無用な宣伝をしなくなってからです。