インフルエンザで会社を休まなければならないのか?
現在、インフルエンザの患者が次から次へと受診してきます。
インフルエンザになったら会社を休むべき。これが一般的な考え方だと思いますが、僕はこの考え方に反論します。本人が体調がそんなに悪くないのなら、会社に行ってもいいよと説明しています。非常識な意見だと思う人もいるでしょうから、事情を説明します。
実はインフルエンザで会社に行っている人はたくさんいます。ほとんどの人が自分はインフルエンザと思っていないのです。「風邪ぐらいで会社を休むな」日本の会社ではこういわれることが多いでしょう。そもそも軽症のインフルエンザはたくさんいるので、風邪とインフルエンザの区別ができるわけがないのです。40度発熱していかにもインフルエンザというのは症状が重い人であって、微熱しかでない、鼻水だけの症状。そのようなインフルエンザの患者はたくさんいるのです。患者さん自身はインフルエンザではなく、風邪だと思って会社に行きます。症状が重い人だけが医療機関にきているのです。自己判断で風邪だという人の中に、かなりの数のインフルエンザがまぎれています。
風邪ぐらいで会社を休むなと言われれば、会社にいかざるをえません。そのような人たちが、インフルエンザの感染源になるわけです。風邪だって他の人にうつるのは当たり前の話です。区別ができない以上は、「風邪をひいたら会社に来るな」と言わなければ、その流行はふせげません。以前の新型インフルエンザ騒動を覚えているでしょうか。このときはこのインフルエンザを恐れ、少しでも発熱したら学校や会社に来ないように徹底していました。その結果、ほとんど広がらなかったのです。これぐらいやらなければ流行はふせげません。
風邪をひいても何日も会社に行っていた人が、3日ぐらいしてようやく時間がとれたと当院を受診しました。検査でインフル陽性です。「会社を休まなければならないのでしょうか?」と聞かれますが、感染力が強い時期に会社に行っていたのに、今更休む必要はないんです。もううつす人にはうつしてしまっているし、インフルエンザと診断されてからはそうそう他の人にうつさないと思います。風邪だと言っている時期のほうがよっぽど移しやすいことでしょう。「続けて会社に行ってもいいですよ。」とは言うのですが、実際には会社に来るなと言われます。症状が重い人も、軽い人も、インフルエンザだから休めというのはおかしいように思います。インフルエンザの流行を徹底的に抑えたいのであれば、「風邪をひいたら会社に来るな」と休ませるほうがいいのです。