メニュー

突発性難聴と音響性外傷

[2017.12.15]

浜崎あゆみさんや堂本剛さんが、突発性難聴だと報道されています。芸能人に突発性難聴が多いという印象がどうしてもでてきます。が、本当でしょうか?

一般的に、突発性難聴というのが誤解されているから、このような報道がなされるのです。突発性難聴とは、急性難聴の中で、原因不明の難聴を言います。難しい言葉で言えば、病気ではなく、症候群です。要するに、突然聞こえなくなった難聴で、他の病名をつけられないものを、ひっくるめて「突発性難聴」と呼んでいるわけです。原因は多岐にわたります。たとえば、ムンプス(おたふくかぜ)のウイルスが難聴を起こすことは知られています。このようなものを、ムンプス難聴といいます。ムンプス難聴というのは、ムンプスウイルスに感染していることがわかってはじめてそのような病名になるのです。ムンプスを疑い、採血なのでその感染を証明できてはじめてムンプス難聴になります。最初から疑わなかったり、面倒だからと検査しなければ、原因不明の突発性難聴になってしまいます。突発性難聴とすぐに診断するということは、その原因について何も調べてはいないのです

  • 急性感音性難聴
    • 突発性難聴(原因不明)
    • 急性低音障害型感音性難聴
    • 音響外傷
    • その他

 急に聴力が落ちるような難聴は、急性感音性難聴と言うべきであって、その中でどうしても原因がわからないものを、突発性難聴と言っているわけです。

 話は歌手のことに戻りますが、浜崎さんらは音響外傷ではないかと思います。大きな音を聞くために、耳の細胞が壊れてきてしまう病気です。ミューシャンにはとても多いのです。おおきな音をいつも聞いているから、耳の細胞が壊れてくることで発症します。大きな音を聞いて一気に壊れてしまうのを、急性音響外傷、小さな音でも長時間聞くことにより徐々に悪くなってくるのを騒音性難聴と呼びます。音楽をやっている歌手の場合には、このての音響外傷を繰り返し、難聴が徐々にひどくなることが多いのです。

 ところが、この手の音響外傷と、原因不明の突発性難聴の区別がついていないために、知名度の高い突発性難聴として報道されます。事務所側が、突発性難聴とあえて報告している可能性もあります。音響外傷で聞こえが悪くなったと報道されると、耳を守るために音楽をやめるべきだと主張する人たちもいるからでしょう。特定の歌手にたよっている事務所にとっては、死活問題ですからね。もちろん音楽からの引退は本人も望まないと思いますし。耳鼻科医がどういう診断したかは別にして、「突発性難聴」としか公表できない事情も理解できます。

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME