胃食道逆流症による音声障害
歌手などの声を使う職業の人を調べたら、50%近い割合で、胃液の逆流による喉頭炎が見つかった。このような論文がある。胃液の逆流による音声障害というのは、決してまれなことではないようだ。
先日、声がかすれると受診してきた人がいた。うちのクリニックに来るまでにすでに二軒の耳鼻科クリニックで診察を受けて、声帯には異常がないと言われたそうだ。「異常がないのなら、その耳鼻科でなんと言われたの?」と聞いても、明確な回答が得られない。おそらく、「以上なし、終わり。」となって、なぜ声がかすれたのかについてはそれ以上調べてもらえなかったのかもしれない。声のかすれがでてから、すでに数か月がたっている。何らかの異常があるはずなのだ。
たしかに、声帯の動きには異常がなく、ポリープなども存在しない。喉頭ファイバーで声門後頭部に少しびらんがある。おそらくは、胃食道逆流症による喉頭炎であろう。
胃食道逆流症の喉頭炎の主な症状
- 嗄声(声のかすれ、特に午前中)
- 声のウオーミングアップに時間がかかる
- 口臭
- 痰が多い
- 咳払いが多い
- 口腔内乾燥
- のどの違和感
- 嚥下困難
- のどのむずがゆさ
- 慢性の咽頭痛
食事がどんどん西欧化し、脂っぽいものを食べることが増えてきている。これによる、胃食道逆流症の頻度はどんどんあがってきている。おそらく、普通の耳鼻科医が考えているよりもかなり多くの人に症状がでている。
胃液の逆流は、さまざまなのどの症状を引き起こす。声のかすれもけっこう多いらしい。このことを知っておかないと、治せる病気を見落としてしまう。