メニュー

医者の仕事は病気を治すこと

[2018.06.20]

医者の仕事って何だろうと考えるとき、一番重要なのは病気を治すことだと思っている。もちろん、個々により考えはまちまちであろう。どれだけ稼げるかを目標にしている人もいるし、権力の中枢に立つことを目標にする人もいる。また、テレビに出たりして人気をえたいという人もいるかもしれない。人によってまちまちであり、それは個々の考えでいいだろう。

以前にも何度か書いたことがあるが、自分は宮本武蔵になりたいと思う。剣の道をとことん追求したい。出世のために偉い人にこびをうったりもしないし、出世をしたいとも思わない。また、剣術家として名前を売りたいとも思わない。常に「強くなるにはどうすればいいのか。どんな剣豪よりも強くなりたい。」と思い、日々剣の道を究めたいのだ。仕事の分類で言えば、職人畑なのだ。

自分がもっともつらいのは、患者の治療がうまくいかないときである。治療の判断ミスで治せなかった。あるいは、病気を見逃してひどい目にあわせてしまった。それを何よりも恐れる。自分のクリニックを受診してきた患者は何がなんでも治してあげたいと思う。そのためには、どんなに威圧的にでもなる。

この威圧的態度が、「態度がでかい。」とけっこうたたかれるのだが、みんなに好かれようとは思ってはいない。嫌う人がいるのはそれでいい。しかし、自分のクリニックを受診してきた患者には全力をもって治療にあたる。それをポリシーにしている。情熱があれば、患者への指導にも熱がはいる。逆にやる気のない人は最低限のことしかやらないとは思う。

昨日、日本がワールドカップでコロンビアを破った。直前のテレビで、乾選手のことがとりあげられていた。暇なときは何をしますかという質問に、「すべてサッカーのことを考えている。それ以外のことはどうでもいいし、興味もない。」サッカーをうまくなることだけを考えているのであろう。すべてがさっかーのためになのだそうだ。サッカー選手の中には、スタイルにこだわったりする人もいるし、試合のないときは飲み歩いている人もいる、そしてテレビにでまくり国民の人気をえようとしている人もいる。僕は乾選手と同類なのだと思う。治療技術を上げること以外はどうでもいい。

何十年も医者をやていれば、若い時の判断ミスで患者を亡くしてしまったことは何回もある。あのときこうしていれば。過去のタラレバの話になってしまうが、失敗したことの悔しい思いは常に頭にこびりついている。もちろん、そのような失敗を通じて今があるのではあるが、ミスったことは忘れたくないし、今後一人でも取り返せないようなミスはしたくない。そう思うと、こちらの指導も厳しくなるし、それで患者が救えるのなら、嫌われてもかまわない。自分の診療技術が100%にならない限りは、常にその向上をめざしたい。

宮本武蔵は、一度のミスで命を落とす。一度のミスも許されない。そう考えると、自分は何回死んでいるのだろう。まだまだ甘いものだが、もう二度とミスはしまい。そのことばかりを考えていると、他のことなどどうでもよくなる。ミスばかりしながら、いつもニコニコ笑っている医者にだけはなるまい。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME