低亜鉛血症(味覚障害)
血中の亜鉛が低いと味覚障害がくる。亜鉛低下が原因に味覚障害には、いままでいい薬がなかった。プロマックという胃薬が亜鉛を含んでいるので、適応外使用になるが、その胃薬が出されることが多いようだ。この胃薬の処方目的の多くは、味覚障害だというから驚きである。適切な亜鉛の薬がなかったので、亜鉛のサプリメントを購入するようにすすめることも多かった。サプリメントであれば、どこのドラッグストアでも、コンビニでも置いているからだ。
ところが、最近、ノベルジンという亜鉛補助剤が発売になった。もともとは銅の過貯蔵によっておこるウイルソン病という病気の治療薬として作られたものだ。銅の吸収を抑えると、亜鉛が増えることが知られている。なんでも、亜鉛と銅は、腸管での吸収において、競合の関係にあるらしい。銅の吸収をおさえれば、亜鉛の吸収は増えるということだ。このノベルジンが、亜鉛欠乏症からくる味覚障害の治療薬として、唯一保険認可をされたのだ。
過去のカルテを調べ、亜鉛の検査をした患者を洗ってみた。20人ほどが味覚障害から血中亜鉛を調べているが、あきらかに亜鉛欠乏症と診断がつくのが、2~3人ぐらい。おもったほどはいないようだ。
亜鉛欠乏は、皮膚炎や口内炎なども起こしやすくなる。味覚障害ばかりでなく、口内炎を繰り返すような人にも亜鉛欠乏を疑ってみる必要があろう。
いずれにせよ、待っていた薬が発売されたようだ。