レミエール症候群
絶対には見逃してはいけない病気にレミエール症候群というものがある。いわゆる、killer diseaseと呼ばれるもので、急性喉頭蓋炎と同様に致死性の病気である。
本体は内頸静脈の血栓性静脈炎で、中咽頭の感染などが引き金になることが多い。なぜ、この病気の注目しているのかというと、とても怖い病気にも関わらず、耳鼻科医にはあまり知られていないからだ。そして、今後この病気が増えてくる可能性が高いことも注目理由の一つである。
増えてくるのは、風邪に抗生剤を使わなくなってきているからだ。ウイルス感染に抗生剤を使わないのは理にかなっている。それは耐性菌を生み出す土壌になる。一方で、のどの細菌感染にも抗生剤を使わなくなってしまう。両者の区別がとても難しいからである。よくわからないけど、とりあえず抗生剤がだされてよくなってしまう。このようなケースはいくらでもあった。しかし、今後はよくわからないときは、抗生剤を出さなくなる。これがこの病気を引き起こす原因になる。むやみやたらに抗生剤を出していたことが、皮肉なことにこの病気を封じ込んでしまっていたからだ。
原因菌は、Fusobacterium necrophorumなどと言われる。のどに普通にいる嫌気性菌のようである。敗血症から一気に死に至る場合もあるようなので、なによりも見落とさないこと。頭の中にこの病気の可能性をインプットしておくこと。これが大切であろう。子供というよりも、健康な大人に起こりやすいようだ。