メイアクト、フロモックスはきかない
第三世代セフェム系の抗生剤(メイアクト、フロモックス、セフゾン、バナンなど)は、消化管での吸収が極めて悪く、ほとんど効かないと指摘されています。消化管吸収率が、20%前後しかないらしいのです。しかも、耐性菌を生み出しやすく、抗生剤としての効果はほとんど疑問視されています。
ところが、日本ではどこの医療機関でもこれらの薬を使っていることが多いのです。欧米など他の国ではほとんど使われていないこれらの抗生剤が、日本ではやたらと使われているのは効果的だからではなく、単に製薬会社が医者をうまく丸め込んでいるからなのでしょう。
僕自身はファーストチョイスで用いる抗生剤のほとんどはペニシリン系です。それがきかない場合には、メイアクトとときおり用いますが、それは通常の倍量で使うことも多いのです。量を増やすことで、消化管での吸収が増えれば効くかなという配慮からです。
日本においては、ある地域でペニシリン系の抗生剤のみを使うようにしたら、その地域の耐性菌が激減したという報告があります。特に安易に使われやすいセフェム第三世代の抗生剤を使わないというのが、耐性菌をうみださないのにはとても大切なことなのです。
僕自身は特に子供への抗生剤は9割がペニシリン系です。上記のような理由から使っています。ところが、ペニシリンを出すと、「こんな古い薬きくわけがない」と患者に吹き込む薬剤師があとをたちません。そこの薬局の周囲の医者は、第三世代のセフェム系抗生剤と使いまくっているので、それが最新の治療だと、薬剤師も信じているわけです。
僕自身も開業前は、新しいセフェム系抗生剤が一番きくのだと思って使いまくっていました。「古いペニシリンのほうが効果があり、耐性菌を生みづらい」という報告は、本当にパラダイムシフトです。最初は信じられず、そんなバカなと思っていましたが、論文などをいろいろと調べてみると、そっちのほうが真実味があるのです。開業してからの間は、どんどんセフェム系の抗生剤を使わなくなりました。きかない抗生剤を使う意味がないからです。
第三世代セフェム系抗生剤は意味がないのかというとそんなこともありません。下痢が少ないし、味もあまりまずくはないのです。はっきりいって、子供は飲みやすいのです。ただ、効かない抗生剤を飲みやすいからと言って、出すのはどうなんでしょうか。うちの近所のクリニックで、「子供のことを考えておいしい薬しか使わない」と公言しているところがあります。「まずくて飲みづらいが、よく効くペニシリン系の抗生剤」ばかりをだしている当院を批判してくるところもあります。しかし、上記のような判断をしているのだとわかってください。医者の仕事は病気を治すことであって、薬を処方することでも、薬を飲ませることでもありません。そもそも効かない抗生剤は飲む必要はありません。なんとなく治療しているような気分になっているだけなのでしょう。
世の中で広く使われている抗生剤、一番がフロモックス、二番がメイアクト。両方とも粉薬があり小児にも使われます。これらの薬がきわめて効きが悪い抗生剤なのだとご理解ください。これを知っている医者はまだまだ少数派なのでしょう。ただ、周辺の小児科医、耳鼻科医でも、勉強熱心な先生たちは、すでにセフェムを使わなくなってきています。
経口第三世代セフェムがきかないという資料はここをご参照ください。