メニュー

「発達障害」と「発達の障害」

[2018.05.16]

発達障害という言葉が一般的に使われるようになり、かなり困った問題がでてきた。「発達障害」と「発達の障害」は違うことを意味するのだ。これがどうにも、専門家の中でも混同されてしまっている。

発達の障害とは、赤ちゃんから大きくなってくる過程で、神経系の異常や脳の異常などのために、成長に障害がおこったものをいう。小児科医は、「発達が悪いですね。」とか「発達に問題がありますね。」などということが多いかもしれない。主に神経系の発達を見ていて、赤ちゃんのときに異常を発見するように努力している。成長とともに、手足の麻痺などがはっきりしてくるのだが、赤ちゃんのときにできれば診断したいと乳幼児の健診を行っているのだ。

自閉症に、「発達障害」という言い方が普通に使われるようになり、その両者が混同されるようになってきた。発達障害の原因はわからないが、脳の中の機能の発達障害なのであろう。手足の動きには問題がなく、脳の機能に著しい問題が起こる。

小児科領域では、小児の神経系の異常も発達の障害であるし、自閉症のほうも発達障害である。自分でこのように書いていても本当に紛らわしい。

最近になり、発達障害ではなく、別の言い方で予防という動きが広がってきている。自閉症というのも、従来の自閉症の概念とはかなり食い違うため、現在の最新の言い方は、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder, 略称:ASD)と呼ばれることが普通になってきた。自閉症スペクトラム障害の一つである、アスペルガー症候群AS(Asperger Syndrome)と略されるために、これも混同しやすい。自閉症スペクトラム障害という言い方が一般化するまで、まだまだ時間がかかりそうではあるが。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME