耳掃除
学校検診で耳垢を指摘され、そのために受診してくる子供が最近多い。小学生の場合には、耳掃除を怖がる子供がけっこういる。このため、いろいろと子供に話しかけながら、耳掃除をするようにしている。最初から恐怖感で大騒ぎするような子供でなければ、子どもと僕が話をしている間に、「もう耳掃除が終わったの?」という感想をもらされる場合が多い。一見、簡単にやっているようで、実はこれがなかなか難しい。恐怖感を与えずに終えてしまうのには、けっこうなテクニックがいるのだ。
週に1回、亀戸分院でも診療をしている。こちらでは小さな子供が「耳掃除がうまい」という噂が広まり、耳掃除してもらいたいと受診する子供がけっこう多い。耳掃除以外でもたいていのことはうまいと思っているのだが、どういうわけか、耳掃除以外の患者はほとんど来ない。耳掃除専門の医者のように思われている。
耳掃除と言うのは、鼓膜の状態をみる上での基本になる。耳掃除ができなければ、鼓膜の状態は見られないし、中耳炎の診断もできない。耳垢がたまっているとすぐに耳垢水という耳垢をとかす薬をだす耳鼻科医も多いが、僕はほとんどこの薬を使わない。耳垢水は、その日のうちに鼓膜の状態を確認できないからだ。今鼓膜を診られなければ、中耳炎かどうかの判断はできない。このため、その日に耳垢をとり、その場で中耳炎の確認が習慣になっている。毎日このようにしていれば、耳垢をとるのもうまくなるだろうと思う。が、いつも耳垢水を使っているのでは、技術はまったく上達しないだろうと思う。さらに、病気の対応も遅れてしまう。