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のどがつまる

[2018.05.15]

「のどがつまる」

このような症状で受診する人は多い。その原因はまちまちだ。診察して明らかな異常を認めないものを、「咽喉頭異常感症」と耳鼻咽喉科領域ではよび、精神的なものとみなされることも多い。ある種の漢方薬が用いられることも多いが、これも含めて、器質的な異常はなにもないという前提にたっている。

僕自身も10年ぐらい前まではそのように考えていた。のどの奥までみて何も異常がないのであれば、それは精神的なものではないかと考えていたのだ。ところが、次のような病気の見落としがあることがけっこうわかってきて、その薬を出すことで劇的に改善することがある。つまり、10年前まではかなり誤診していたことを反省しなければならない。

1)胃食道逆流症

 逆流性食道炎ともいわれる。胃液の逆流によりのどの違和感がけっこう生じる。のどの見ても何もないというのは、癌などは見つからないという意味である。よくよく見ると、胃液の逆流によると思われる痕跡が残っている。そのような痕跡をけっこう見つけられるようになり、診断率があがった。のどがつまる、この症状で受診する人の中には、けっこうこの病気が多い。

2)咳喘息(気管支喘息)

 咳喘息でのどの違和感が起こるのか?このようなことはどの成書にも書いてはいない。しかし、これもけっこう多い。自分自身がそうなので、よくわかる。喘息反応が起こってくると、のどのつまり感がでてくる。つまるというよりも、もやもやする感じの場合も多いが。言葉で説明するのは難しいのだが、同じような症状を歌える人がいるので、自分でも同意できる。ただ、その多くは、咳、痰とともにこののどの違和感がでてくる。咳がひどいとあれば、咳喘息を疑うこともそんなに難しくはない。僕自身、咳喘息の症状は、「咳、痰、のどの違和感」が代表的な症状だと説明している。喘息がひどくなってきたときに、のどの違和感はけっこうでてくる。

 しかし、咳がほとんどでないで、のどの違和感だけで受診する患者もいる。咳喘息にはこのような人もいるのだ。怪しいと思ったら、呼気NOの検査で確認している。NO値が上昇しているようだと確信がもてる。ステロイドの吸入薬で治療をすると、のどの違和感もとれてくる。このため、のどがつまるという症状で受診した人には、常に喘息の存在を考えるようになった。

 もちろん、精神的なものが原因で、のどの違和感を訴えてくる場合もある。上記の2つの疾患の可能性も否定できてから、精神的なものを考えるようにしている。そうなると、けっこう精神的なものは少ないのだと自覚できる。「のどの違和感」=「漢方薬」とばかりに、診断をするのを最初から無視して薬が出されている場合もけっこう多いので、見逃しがないかの確認が必要であろう。

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