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嚥下障害

[2018.04.30]

初期研修医のころ、食道透視検査をよくやらされた。バリウムなどの造影剤をのませ、それが食道を通って胃に落ちるまでを、レントゲン下でみる検査である。なんのためにやっていたのかというと、たいていは、下咽頭がん、食道がんの診断のためである。のどになにかつまっているような感じがする。そのようなときに、バリウムが落ちていく様子でがんがあるかどうかを判別するのだ。

最近は、このような検査が少なくなったように思う。自分がやらなくなっただけなのかもしれないが、数十年もやっていない。たぶん、内視鏡検査のほうが鋭敏に診断できるようになったからであろう。

若いころは、がんがあるかないかだけを見ていたのであるが、摂食・嚥下障害をみるのに同じような検査を行う。嚥下造影検査とよばれる。やっていることは同じであるが、嚥下そのものに問題がないかを焦点をあてているために、このような言い方をしている。嚥下機能をみるのには、聴診器で音を聞く方法や、喉頭ファイバーで嚥下の状態を直接みる方法もある。耳鼻科の開業医にとては、レントゲン透視とう方法はとれないので、ファイバーで嚥下機能をみるのが一番適格であろう。

今回、嚥下障害についてあらためて勉強してみた。4冊ほど本を読んだ。多くはDVD動画付きの本であり、嚥下の状態を動画でみることにより、とても理解が深まった。おそらく、診断に関して言えば、ほぼマスターできたと思う。

今でこそ嚥下障害への対策の需要は高まっているが、昔も同様の嚥下障害患者はいたに違いない。そのような観点で、食道透視を診ていなかったことが残念でならない。当時はそのことを教えてくれる書籍もほとんどなかったし、詳しい先輩医師もいなかったように思う。

嚥下障害に詳しい耳鼻科開業医は本当に珍しい。病院の医師であれば、嚥下障害の診断、評価を求められるが、開業してそのような患者が来ることはとても少ないからだ。しかし、時に受診する患者もあるので、自分の欠点範囲をほぼカバーできたことはうれしく思う。

次は、誤嚥性肺炎を防ぐための手段を学んでいこう。

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