上咽頭炎
上咽頭とは、鼻の一番つきあたりのところ、のどの上の方の場所である。ここは医学的にすごく重要で、風邪などによるこの部位の炎症はけっこういる。耳鼻科医ならば誰もが知っていることだが、内科の先生で上咽頭炎という病気を知っている人はまれではないだろうか。
鼻の奥、のどの上のつきあたりが痛い。患者さんはけっこう的確に教えてくれる。ここの部位は口を開けてもみることはできない。口を開けて見えるのは、中咽頭と言って、もっと下の部分なのだ。耳鼻科医は鏡やファイバーでその部位を診て炎症の程度をみる。僕の場合は、直接見るよりも、その部位に薬を塗ってみる。ルゴールというのどに塗るのに昔から使われている薬である。これをのどの奥の上のほうに塗る。これがむちゃくちゃ痛い。痛いことがそこに炎症が起こっている証拠になる。炎症がないとほとんど痛まないのだ。塗ったあとは、多くの大人は涙を流す。しかし、これが劇的にきく。最初の痛みを我慢すれば、そのあとの痛みはかなりおさまるのだ。のどに薬を塗るのは意味がないと、内科の医師は思っているかもしれない。たしかに、中咽頭にぬってもそんなに効果がでるとは思えない。しかし、上咽頭の炎症にはとてもよくきく。耳鼻科医はみんなこのことを知っている。
ここに薬を塗れば病気が治る。これに目をつけたのが、Bスポット療法というものだ。上咽頭に強い薬を塗ると、体のさまざまな不調も改善するのだ。この部位は、免疫細胞がたくさん集まっており、ここを刺激することで、さまざまな不調がよくなる。理論的にはまだまだ解明されてはいないが、その効果は実証されているようだ。