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貧血によるめまい

[2018.06.07]

めまいを主訴に受診した若い女性。動悸がして、胸のあたりの違和感がある。めまいそのものはたいしたことないだろうと思いながらも、動悸が気になって仕方ない。不整脈によるめまいかもしれない。当院では心電図もとれないので、内科に紹介する。その結果が、鉄欠乏貧血。

貧血によるめまいを疑いもしなかったことがショックが大きい。貧血によるめまいは、ふらふらするものだという先入観があった。言われてみれば、動悸、めまいなどは鉄欠乏貧血の症状である。症状から気づいてもおかしくはなかった。顔色も悪ければ貧血も疑うが、顔色はいたって普通だったし。それが見抜けなかったことがショックでしかたない。さらなる勉強を要すると反省。

若い女性に鉄欠乏貧血など珍しくもない。大半はそうなのかもしれない。そのうち、めまいを引き起こすケースはけっこうまれであろう。しかし、動悸を考えれば貧血を抑えておかなければならなかった。

僕が学生のころに、葛西先生という外科の教授がいた。医局員からもすごく人望が厚く、手術の腕もすごかったそうだ。いろいろな先生たちから葛西先生の伝説は聞かされていた。明確に記憶に残っているものは。

葛西先生は、自分で経験した患者の病気は徹底的に勉強し、二度と同じ過ちを繰り返さなかった。

人間には知らないことも多い。ミスも犯す。しかし、2回目も同じミスをするようであれば、それは単なる怠慢だろう。一度犯した過ちは二度と犯してはならない。医者として、尊敬できる姿勢である。

そんな先達を尊敬しながら、自分も二度と同じ過ちを繰り返すまいと誓う。

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