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咳はなぜとまらないのか?

[2018.08.06]

咳がとまらないとき、どこの診療科に行きますか?内科、呼吸器科、耳鼻咽喉科?

咳がとまらない理由には、診療科の難しさがあるのです。どこでみるかがとても難しいのです。

咳の原因として、咳喘息がとても多いのだと言うことは、このブログで何度も書いています。とまらない咳の8~9割が喘息がらみの咳だと思っていて、喘息の治療をすればよくなってくるのです。しかし、全員がこの治療でよくなるわけでもありません。治らない人もいるわけです。

咳の原因は喘息ではないかと呼吸器内科でみていた患者が受診しました。喘息の治療をしてもよくならないので、副鼻腔炎があるかもしれない。耳鼻科でみてもらったほうがいいと、すすめられて当院を受診してきました。ファイバーで鼻の中をのぞいても、鼻が悪そうな感じはしません。副鼻腔炎はなし。これが自分の結論です。だとしたら、咳の原因はなんだろうか。ファイバーでみていて、気づいた点が二つありました。一つは上咽頭が赤くなっていること。そしてもう一つは食道入り口の下咽頭部分に若干のびらんを認めること。この二つから、咳の原因は逆流性食道炎によるものではないかと推測しました。胃薬をだしたら、咳はわりとすんなりととまりました。やっぱり胃液の逆流による咳だったようです。昨年からずっと咳が続いていたということだったので、ようやく解決し喜ばれました。

数は多くはないのですが、逆流性食道炎による咳はいます。喘息で治療していてよくならないケースはたいていこれのような気がしています。1年ぐらい前にも、呼吸器内科の医師が喘息の治療をしていて、まったくよくならないと当院を受診してきた患者がいました。呼吸器内科医は、喘息の見落としはまずないと思っていますので、よくならないものはたいてい逆流性食道炎による咳ですね。呼吸器内科医以外がみていて咳がよくならない場合は、ほとんど喘息ですけどね。

咳の原因として主なものをあげると、1)風邪、2)喘息、3)副鼻腔炎、4)逆流性食道炎、このような頻度で多いように思います。このうち咳が長引くものは2)~4)ですね。2)は呼吸器内科、3)は耳鼻咽喉科、4)は消化器内科と原因により診療科が違ってくるのです。それぞれの診療科の医師は、自分の専門分野には詳しいのですが、専門が違うと診断も治療もとたんに難しくなってしまいます。しかも、咳の原因は一つではないことも多いのです。副鼻腔炎に喘息を合併するなんて、いくらでもありますからね。両方を同時に診断、治療していかないと治ってこないのです。ようするに、すべてを診られる医者がほとんどいないのです。自分の専門領域に咳の原因を求めようとしてしまいがちなんです。

僕自身は、咳にかかわるすべての疾患を見抜けなければならないと考えています。咳の原因として一番多くみているのは、喘息です。次が逆流性食道炎あたりですね。いちおう副鼻腔炎も見てはいますけど、ひどい咳の原因になることはとても少ないように思っています。それ以外の疾患としては、マイコプラズマ肺炎、百日咳、結核、肺炎、心不全、細菌性気管支炎などもあります。ここらへんまでは自分で診断してしまいます。肺炎、心不全は高齢者にときおりみつけます。結核も一人いました。

咳の原因は多岐にわたるのですが、いろいろな診療科を渡り歩かないとなかなか原因が見つけきれないのが実情です。それではだめだと思うんですけどね。

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