聴覚情報処理障害(APD)
音は聞こえているのだけど、人の話し声がよく聞き取れないのです。
このような患者がときおり受診する。耳鼻咽喉科では、「聴力検査で異常がないから、気のせいではないか。」と言われてしまうことが多いだろう。
実は、言葉の理解が悪くなる、聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder:APD)の可能性が高い。
音としてはよく聞こえているのだが、脳での処理がオーバーワークしてしまい、その理解ができなくなるようだ。特に騒音下で他の音が耳に入ってきたり、複数の話し手に同時に話しかけられたりすると、何を言っているのか理解できなくなってしまう。
けっして珍しい病気ではなく、数カ月に一人ぐらいは受診をする。残念なことに治す方法はないので、静かな環境で話を聞くように気をつけてもらうしかない。もちろん、聴力検査では非常にいい聴力を示す。
まだまだ耳鼻科医でこの病気の専門家という人は少なく、心理学研究者が積極的に調べているような段階である。