滲出(しんしゅつ)性中耳炎
中耳炎と言ってしまうと誤解されやすいのですが、子どもの中耳炎には、細菌の感染による急性中耳炎と、個室の中に液がたまる滲出性中耳炎があります。滲出性中耳炎というのはなかなか治りづらく、完治まで時間がかかります。このため、セカンドオピニオンをもとめて、当院を受診するお子様も多いのです
原因
- 急性中耳炎の繰り返し(一度よくなっていても、急性中耳炎になるたびに悪くなります)
- 副鼻腔炎などの鼻疾患
- アデノイドが大きい
- 鼻すすり(鼻すすりは大きな悪化要因になります)
症状
お子さんをよくみていると、聞こえが悪いに親御さんが気づいて耳鼻科に連れてくる場合もありますが、ほとんどは無症状です。むしろたまたま耳鼻科を受診して見つかる場合のほうが多いでしょう。鼓室内に貯留液がたくさんたまると、聞こえに影響します。聞こえが悪いと、教育面でも影響がくると言われていますので、放置は好ましくありません。
治療
- 鼻の治療(基本です)
- マクロライド少量長期投与療法(副鼻腔炎があるケースによく効きます)
- 扁桃&アデノイド切除術(全身麻酔による手術的治療です)
- 鼓膜チューブ挿入術(鼓膜にチューブを挿入し、空気の通り道を確保します)
滲出液がなかなかひかないケースに、マクロライドの抗生剤を少量で使うと、2~3週間後にみごとに治るケースがあります。一度は試してみてもいい治療でしょう。どうしてもなおらなければ、後ろ二つの手術的治療を選択することになります。両方同時に行うことも珍しくありません。小学校低学年ぐらいに成長すると、自然になおってしまうことも多いのですが、その間に鼓膜がくっついてしまったりする合併症を起こさないように、注意深くみていく必要があります。