メニュー

EBウイルス感染と溶連菌感染症

[2018.09.09]

どちらも、急性扁桃炎の形で受診する。詳しくいえば、見分けるポイントもあるのだが、判別が難しい場合も存在する。

発熱、咽頭痛で、溶連菌を疑われた患者がいた。迅速検査で溶連菌陽性。抗生剤が処方された。ところがこの抗生剤を嫌がってまったく飲めなかった子供が受診した。溶連菌感染症であれば、抗生剤を内服すればすぐよくなる。飲めないのではしかたないかなと思っていた。翌日、僕がみることになり、抗生剤を飲めないんだったら点滴してしまいましょうと同意を得る。溶連菌感染症で抗生剤を点滴することは、子供の場合にはほとんど経験がない。抗生剤を飲めば治ってしまうからだ。飲まないならば抗生剤を点滴しよう。そして点滴さえすれば、おそらく一日でよくなるだろう。ところが、翌日よくならないと再受診した。あれ、おかしい。ここではじめて、EBウイルスによる伝染性単核球症を疑った。食事もとれないということで、小児科のある病院に「伝染性単核球症疑い」で入院加療してもらうことにした。頸部リンパ節の腫脹はあまりはっきりしないが、扁桃の膿性所見と、抗生剤が効かなかったことよりそう考えた。

入院して点滴をしてからはすぐに改善したようだった。向こうでウイルス検査も行い、EBウイルスの抗体値もあがっており、伝染性単核球症で間違いないだろうということになった。

EBウイルス感染による伝染性単核球症のうち、約30%に溶連菌迅速検査で陽性にでるという記載があった。そもそも溶連菌による扁桃炎でなくても、迅速検査をすれば陽性になる子供はけっこういるのだ。おそらく、無症候性のキャリアを検査でひっかけているのであろう。陽性にでたから、それが原因だと安易に考えないほうがいいかもしれない。経過がおかしければ、疑問をもつのも大切なことであろう。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME