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バレット食道

[2018.01.02]

ある大学病院の消化器内科で逆流性食道炎と言われて薬をもらっているが、よくならないと当院を受診した。のどの違和感が主訴のようである。本人は勝手にこちらに受診したため、向こうでの内視鏡の所見がどうであるのか、まったくわからない。あたらめて当院から再度紹介し、診断しなおしてもらった。その結果が返ってきた。逆流性食道炎+バレット食道ということであった。胃液の逆流はないので、外来通院も治療も必要もないということであった。

バレット食道というのがよくわからないので、調べてみた。胃液の逆流がひどくなることによって生じる、食道内膜の変化であり、食道の前癌状態のようである。癌になる一歩手前ということだ。

ここからは、専門外の耳鼻科医の意見として、間違っていたら読み流してもらいたい。胃液の逆流があり、前癌状態がひきおこされているのであれば、胃液の逆流をおさえていくような治療を続けていかなければ、食道癌になってしまうのではないかと思う。ましてや、食道癌がいつ発生するかわからないようであれば、定期的な内視鏡などでのフォローアップも重要になるだろう。治療も、外来通院もいらないという意味がわからない。

逆流性食道炎で、その治療に使われるPPI(プロトンインヒビター)が効果がない例はかなりある。消化器内科は素人なので、薬をだせば効くものと以前は思っていた。しかし、書籍などで確認すると、薬が効かないケースはとても多そうなのだ。最近は、PPIにさらに別の薬を加える治療をはじめてみたが、どんなに強い薬を使ってもだめなケースはある。そのような場合にはやはり手術的な治療をしているようなのだ。

ググってみると、簡単な内視鏡手術をするとけっこう成績がいいらしい。薬を使っても症状が改善しない場合や、バレット食道の場合には、手術適応になるらしい。どちらもこの患者さんにはあてはまる。

バレット食道だという診断がつくには、胃内視鏡をしてもらうしかない。そのために紹介してしまうと、向こうが専門なの、そちらの医師の判断次第になってしまう。

症状がよくならなくて、当院に受診してきた患者だけに、もっと次の手がとれたのではないかと、ジレンマを感じてしまう。再度戻ってきたら、手術を行っている医師に紹介し、そちらの意見を聞いてみよう。

ある論文には次のような記載があった。「若い内視鏡医師の場合は、癌の発見、治療に熱心ではあるものの、逆流性食道炎などの良性疾患についての関心が低いものが多い。」たしかにそうだ。癌でなければ治療の必要がないし、たいしたことはないと、自分も若いころは思っていた。

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